みんなで力を合わせて地域農業を盛り上げたい!若き農業者の思い
子どもたちに自分の作った野菜を食べさせたい
「やっぱり自分の家のお米が一番おいしい。自分の子どもにも自分で作った野菜を食べさせてあげたい」――青森市でミニトマト栽培を営む小泉憲一さんは、建設会社で10年間勤めた後、29歳で農業の世界に入りました。小泉さんは農家の生まれ。初めは家業を継ぐつもりもなく“違う畑”を選びましたが、高齢になった両親を手伝うため、実家の田んぼへ入るようになったとき、この思いが湧き出たと言います。
小泉さんは、「新しいことにチャレンジしたい」と、主に米作りをしている両親の元でなく、ミニトマト農家での研修を受け、農作業や農業経営を学びました。約3年の研修期間を経て、両親が持っていたタバコ農地の跡地にビニールハウスを建て、ミニトマト工房アーリーを立ち上げ独立しました。
チームの力で変わる農業
小泉さんの畑では、ミニトマト以外にも珍しいイタリア野菜や青森の伝統野菜など、約40種類の野菜が栽培されています。それらの野菜をスーパーやレストランに卸すのに、一人でするのではなく、チームですることを大切にしています。そして、青森県が支援するプロジェクト「若手農業トップランナー塾」に加わり、不作時の野菜の欠品を農家同士で補うなどの仕組みを作りました。「自分だけ得すればいいという考えではいけない。みんなで助け合いみんなで得をする方が、後々メリットも大きくなる」と小泉さんは言います。
小泉さんは、農業に関わる人が増えることで、地域農業が活性化されることを望んでいて、今後は、研修生の受け入れや雇用を増やすなど、農業に挑戦したい人たちの受け皿になることを目指しています。協力し合う仲間は多いほど心強いものです。
農作業はやさしくはない————でも、愛情を込めた分野菜は応えてくれる!
農業には、厳しい側面もあります。天候や気温の影響で栽培計画が崩れたり、次々と色づいていくトマトを収穫するために徹夜したりします。それでも、子どもたちが採れたての野菜をうれしそうに頬張る姿や、「小泉さんの野菜を買いたい」と足を運んでくれるお客さんに出会うと、もっと頑張ろうと思えるのです。
野菜も人間と同じように、感謝の気持ちと愛情を込めて丹念に育てることで、味も大きく変わってくるといいます。収穫量ではなく、野菜の品質で勝負したいという熱い思いが、小泉さんの働く姿から伝わってきます。「手塩にかけた分だけ、野菜は必ず応えてくれる」−−−−小泉さんの言葉には力強さがありました。